第18回だんご寄席　報道に見る昭和二十年の回顧（第四部）・ 二十一年の回顧（其の一）

平成１６年１０月２７日

昭和２０年１２月〜２１年３月

「だんご寄席」第１８回のはじめに！

戦後１９４５年（Ｓ２０）以降の「報導記事を追って」と題しまして、第１５回・１６回だんご寄席と続きましたが、第１７回の６月は城北「鉄道黎明期」と云う筋違いをやらせて頂きましたので、今回（本日）はまた前々回に戻って引続き「昭和２０年末より翌２１年３月までをやらせて頂きます。

尚、話しが途中でカットになる懸念がありますので、先に皆様にお配りしてございます「パンフ」のご説明をいたします。今年の夏「江戸の町並復元図」と云うＢ４版変形仕立て本が出版されました。ご覧になった方もおいでと思いますが、一寸変った趣向と思い、コピーが鮮明でなくて申訳ありませんが、ご覧に供した次第です。

尚、江戸博物館館長の竹内先生（手前どもにもよくお見えになりますが）が此の本の監修をなさっておりますので、月並でなく良く出来ております。

先に（１）幕末上野・谷中周辺俯瞰図
次に（２）幕末上野・谷中付近町並区画図
ご説明（省略）

では本題に

Ｓ２０
１２／１　都内都電全線１０銭から２０銭に値上

１２／２　梨本宮（元帥）ら５９人の戦犯逮捕令発令

１２／３　工業標準化及び規格統一をはかる目的で日本規格協会が成立
お馴染みのＪＩＳ（工業規格）

１２／７　マニラ軍事法廷で「山下奉文（トモユキと読むのが正しい）大将
死刑宣告
（参考）　国内戦犯逮捕令

Ｓ２０

９／１１　第一次　　３９人

１２／２　第二次　　５９人

１２／６　第三次　　　９人　　　合計１０７人
外地戦犯　処刑者　三千数百名
　

１２／１２　Ｇ・Ｈ・Ｑは国家と神道の分離を指令
抑々（そもそも）我国は本地垂迹説に基いて推古天皇（戦後、正しい歴史・第３３代推古帝より始まる）の時代から神仏混こう。明治維新の時、神仏は分離されました（廃仏毀釈）。そしてＳ２０以降、新憲法及びマッカーサー指令で国家と神道の分離が明示されました。

小泉さん靖国神社参拝に対し、中国等反撥姿勢。

小泉総理曰く「アメリカ始め何処の国だって、国家に殉じた者に敬意を表し、慰霊を行っている。これが常識というものだ」と見得を切る。

１２／１７　婦人参政権を取り入れた選挙法改正案が成立した。

１２／１９　全官吏の１割４分に当る６万５千名を整理の対象とすると閣議決定（役人の人員整理）

１２／２０　調査により生きている英霊４，０００名と判明。司法省が復権に関する法令を公布した（玉砕等で戦死公報を出してしまった、それが帰って来てしまった帰還兵問題）

１２／２４　世相は荒廃を極め、都内で一晩のうちに強盗３０件と続発いたしました（物騒な世の中）。依って都内各所に自警団が発足し、銀座では「防犯決死青年隊」。確か翌年（Ｓ２１）、当荒川署管内に「防犯協会」が結成され、日本人自らによる治安維持の観点よりマ司令部もこれを指示した。当時駅前地区で上村部長の下、私も防犯協会員の身分証明書を警察よりもらっている。

１２／２７　連日の犯罪は益々（更に）エスカレートし、一夜に恐喝１０窃盗１９２詐欺１２すり等合計３２８件発生と云う状況で、警視庁は犯罪一斉取締り強化運動を実施した。

１２／２８　「宗教法人法」公布さる（信教の自由｛宗教を信ずること｝を保障する法）

１２／３１　歳果て（大晦日）　Ｇ・Ｈ・Ｑが（修身）（日本歴史）（地理）の授業の停止と（教科書）の回収を命令した（発令した）。正に日本国を骨抜きにするマッカーサー軍政の骨頂と云う可きもの。

斯くして日本有史以来記念す可き昭和２０年は終焉致しました。
ここで終戦のＳ２０年８月〜１２月に至る総括的特徴

1. 戦中から戦後にかけての食糧危機の継続（全国に餓死者が出た）

2. メチルアルコールによる死者発生（軽度〜失明者続出）

3. 物価値上り　闇市を中心に急上昇（インフレ高騰）

4. 街に輪タク走る
東久邇首相訓話の中で　原爆　敗戦国の将来

5. 流行語（一億総懺悔）　（ピカドン）（四等国）遂に四等国になってしまった

6. 流行歌「お山の杉の子」・「リンゴの歌」10/12並木路子　ともに戦後の意気消沈を鼓舞する歌でありました　

7. 進駐軍による一般市民に対する被害
食品の強奪及び暴行一日２０件　婦女への強姦年内１０件

終戦直後の８/１８内務省より各県地方長官に通達あり。（占領軍向け性的慰安施設の設置を指令した）

これに伴い都内では大森の小町園が特殊慰安施設協会傘下の第一号店として開業した。吉原等は３/１０壊滅的打撃を受けていたが、やがて随時復活、翌月（２１年１月）には紅灯の街として一般婦女子を立派に守りました。

日本の内務省の此の方面に対する配慮は実に迅速であった為、被害は最小に終ったのであります。

続いてＳ２１年（終戦の翌年）の報導記事に関するお話しを進めて参ります。

Ｓ２１/１/１　天皇が人間宣言をいたしました。（神格化否定｛神ではない｝の詔勅が出ました。
１／２　鎌倉鶴岡八幡宮初詣５万人（例年は１０万　従ってその半分）
明治神宮６万人（例年６０万人　１０分の１）頓にさみしい正月
戦前戦中戦後最低

１／４　Ｇ・Ｈ・Ｑが軍国主義者の公職追放を発表、併せて超国家主義団体の解散を発令いたしました。（社団法人・財団法人・宗教法人等の内、帝国主義を助長するような団体が対象）

１／５　Ｇ・Ｈ・Ｑの「解任罷免指令」（役人の任を解き、免職させる命令）により内務官僚陣が瓦解（総崩れ）した。/P>

１／８　府県別に農地地主の保有限度が決定した（発表された）。
「農地解放」の法的発令
地主の所有量限度　最高　北海道　１９町　最低　大阪郊外地　３町６
段
概算　１町＝３０００坪　１段＝３００坪

１／１０　大蔵省より財産税及戦時利得税（非戦災者税）発表　6/30納付
（包含）従って荒川税務署知らぬと云う

この他先代死去に伴い相続税　申告ではなく徴収令書　２桁の万　新円の時代　私ども　下の下　最低でも土地１０００坪

１／１１　東京都は汚穢（おわい・糞尿のこと）汲取料を値上げ、１樽１０銭を１５銭に

１／１２　共産党の野坂参三氏が中国延安から帰国、博多に上陸した。
彼の地で反日運動　凱旋将軍のように

１／１３　たばこ（ピース）１０本入り〜７円を日曜祭日のみ発売

１／１８　南朝の子孫と称する「熊沢天皇」を名乗る者が現れて話題をまいた。Ｇ・Ｈ・Ｑは関与せずの姿勢。
南朝の子孫　今より６６０年余の昔、足利尊氏の抵抗を受けて吉野に走り、南朝を建てた後醍醐天皇の子孫と云う

１／１９　NHKラヂオ「素人のど自慢音樂会」が放送を開始した。

１／２２　マ元帥は「極東国際軍事法廷」の開設準備を命令した。

１／２６　マニラから小麦粉１，０００屯が東京港に着いた（アメリカよりの救援食糧物資）　　　　何百人の内　まったく形式的

１／２８　警視庁は夜の女１８人を初めて検挙した。（1/24既に公娼制度廃止命令あり。それに基いた）

１／２９　Ｇ・Ｈ・Ｑ琉球列島・小笠原群島の日本行政権（統治権）の停止を命令す　
従って、両方面はアメリカ民政府の高等弁務官により、S４５本土復帰迄統治が続いた。

１／３１　東京の闇市」（露店）６万店に達した。
地上権・借地権のない広場での出店（露店）は電柱を建てて電気を引くことが出来ない。闇物資を扱うには夜中から早朝にかけて官憲の取締の少ない時間。勢い、ローソク、カーバイトによる営業となる。こんな背景から、闇市と云われるユエンが生れた。

２／３　マッカーサー、日本の国体３原則を指示
1. 天皇は国家の首位にある

2. 戦争を放棄する

3. 封建制度を撤廃する

以上３原則に基いて、日本国憲法（新憲法）草案の作成を政府当局に指示。
　　　　　　　　　　　前年近衛さんに連絡はマチガイ

２／５　帝大総長会議で南原繁東大総長が初めて「女性にも大学の門を開く」と発表
当時　東京帝国大学　東大　　天野公義　日暮里から帝国大学へ
京都帝国大学　京大
九州帝国大学　九大　　地主　山下（地震学）　山下新太郎画伯　内
田（気象学）
東北帝国大学　東北大
北海道帝国大学　北大

南原繁　東京帝国大学総長二期　後年学士院院長となる。リベラリストの評論家だったため、当時、吉田茂から（曲学阿世の徒–よこしまな学問で時勢におもねる）と云われ、紛糾したことあり。
山下新太郎　洋画家　東京美術学校卒、Ｍ38渡欧　帰国後文展連続入選、帝国美術院会員
Ｓ３０年文化功労者

２／１４　国鉄が４万５０００人の人員整理を発表した。これに対し、日本一の大会社、日本一の労働組合を擁する国鉄部内に早速、人員整理反対運動が起り、それから３年後のS２４年７／６国鉄戦後初代総裁の下山定則氏が常磐線綾瀬駅附近で轢死体で発見されたまさかと思う事件発生。自殺か他殺かわからず仕舞、迷宮入りとなって今日に及ぶ。

２／１５　終戦後６ヶ月を経て「朝鮮民主主義民族戦線」が結成され、半島中央部ソウルに旗揚げして朝鮮半島全域を制覇した。此の時点ではまだ朝鮮は一つだった

２／１７　政府は経済危機応急対策として預金の払出し停止（預貯金封鎖）を実施した。
戦後進駐軍管理下の経済政策–即決断行（専横にして峻厳）>
現在の経済政策–ペイオフ程度（緩慢にして融和）

２／２０　ソ連は千島列島と樺太全土の正式領有を布告した。
日本未だ講和条約無く（国交なく）、ソ連の一方的宣告（抗議できない状況）

２／２３　山下奉文の死刑が執行された。
緒戦時、第２５軍司令官としてシンガポール占領に活躍（当時マレーの虎と云われた）。終戦に近く第１４方面軍司令官として比島の防衛の最高責任者。
マニラの刑場で絞首刑でマニラの露と消えた。
フィリッピン〜多数のＢＣ級戦犯「モンテンルパの夜は更けて」（囚れの身）

２／２５　旧円と新円の交換が始まった。　新円＝変な図柄

２／２８　米国映画配給会社＝セントラル映画社より輸入
第一作として「キュリー夫人」「春の序曲」が封切された。
入場料金ご一名様１０円、因みに日本映画は最高額で３円だった。調べて見てわかった。

３／１　国鉄運賃値上げ　旅客１．５倍　貨物３倍　諸物価の基本になる
ものの値上りにより
インフレーション益々盛んで物価高騰止まらず

３／１５　歌舞伎俳優「片岡仁左衛門」一家５人が食物の恨みで内弟子により惨殺された（薪割）。食糧事情が如何に悪かったかの事件。夫人と娘残る。まもなく同家で未亡人が料理屋内々開業。日本橋・上野の旦那衆、義理と人情（同情）で客になるも一時的。やがて未亡人転出。何と云っても事件の家では続かず、親戚の坂口さん、新聞社に居た人を入居させ、その人謄写版印刷を始め、町会の専属になる。間もなく、また親族の一人、松竹の川路竜子の専属振付師（橘流家元・橘左近）さんを相続人に無理遣りきめて未亡人入院。後日、骨董集め（歌舞伎台本・絵・書・彫刻類）で有名な片岡仁左衛門の遺産（全部・橘左近さん引継ぐ）

３／１８　警視庁の講習所で初めて「女性お巡りさん」の入所式挙行。
銀行員や新聞記者からの転向組が多かったと云います。

３／２０　東京都内の発疹チフス患者７５０発生。都では発疹チフス防疫のＤＤＴ撒布隊を結成、都内各所に出動（各区小学校）虱（しらみ）退治に当る。

３／２７　警視庁の調査により判明した配給不正受給の幽霊人口６万余。
悪徳町会長１６３名を書類送検した。

３／２９　早大の入試、定員（合格者）３２０人に対し１万人の志願者あり
３０人に一人
明大の入試定員３００人に対し６〜７千人の志願者あり　２０人に一人
奥幡栄喜商学部長　埼玉県久喜の粉や　野村證券豊田豊市専務–国際証券を興し、社長→会長　（皆陸士卒者）村山富市　専門部時代

３／３０　都の発疹チフス遂に１千人を突破（燃料薪不足に伴う入浴不足–非衛生）水鉄砲様容器ＤＤＴ撒布　衿から背中へ　胸から腹へ
同日、米陸軍長官より駐日米軍（在日進駐軍）は約２０万人と発表あり。

本日終り